佐伯 宏一(さいき こういち)さん
平成29年度認定マイスター 株式会社東新製作所 工務部 顧問 機械保全(機械系保全作業)
会社での役割
佐伯宏一さんは、東新製作所で長年プラントメンテナンス業務に従事してきた。危険物を取り扱うプラントでは作業ミスで人命に関わることもある。常に安全で的確な処置を施せることから顧客からの信頼も厚い。工業系の高校を卒業した後、東新製作所に入社した佐伯さんは、それ以来、会社一筋に勤め上げてきた。経営が苦しい時代を支えてきた苦労人でもある。
現場で培われてきた知恵
仕事で必要なものは自ら生み出してきた。例えば、重量が何トンもある熱交換器の取り換えクレーン作業を行う際、どこかに接触させてしまわないように、容易にバランスよく真っ直ぐ吊り上げる治具を考案した。また、プラントにおいては設備の追加や変更されるケースもあり、現状が初期の図面とは一致しないこともある。自社の管轄するエリアでは配管交換時に毎回段取りをゼロからしなくて済むように情報管理できる仕組みを構築したのも早かった。
次代を担う若手へ伝えたいこと
若手作業者は「現場スケッチがうまくない」という。現場スケッチとは、現場の情報を描き起こす作業である。ベテランの域になると単に設備や配管の長さを図るだけではなく、その先の工程が楽に作業できるように図面に現れてこない情報までも読み取る。そんな“現場力”は長年の経験と勘によって養われるものであるが、それらを少しでも後押ししたいと、地元で実施されている「プラントメンテナンス技能者育成講座」の講師として若者へと教えている。
現在の趣味は奥さんと育てる家庭菜園。もう少し時間ができたら、今は忙しくてできない竹炭もいつかは再開したいと佐伯さんは嬉しそうに話す
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