井上 崇秀(いのうえ たかひで)さん
令和3年度認定マイスター 有限会社井上石材店 代表取締役
石材施工(石材加工作業、石積み作業、石張り作業)
石の匠
井上崇秀さんは井上石材店の3代目社長。地元高校を卒業した後、愛知県岡崎市にある石材店で養成工として働きながら夜間は専門校にも通い4年間学んだ。
当時は朝から晩まで石と向き合い、腕を磨いていたという。帰郷してから井上石材店で父親の下で更なる修行を積み、31歳の時、この新居浜の地から第1回全日本石工選手権大会に出場し、見事優勝した。
井上さんが手掛けた数々の石の製品を、新居浜市内の寺社で見ることができる。
作れる石屋
切って削っての石材加工の世界でも機械化が進む。井上さんの最大の持ち味は機械ではできない部分の手加工。石頭(せっとう)と呼ばれる金槌と石を削るノミなどの道具を使いこなす。とくに仏座などに施される「蓮華(れんげ)」は立体的に手作業で仕上げていく。叩き方ひとつを間違えば簡単に欠けてしまう繊細な作業。キレイな角を出すのが難しいという。
ここまでの技術を習得するまでに、何度も自分の手を叩き、時に失敗もしながら今の境地まで辿り着いた。
若い頃から石材加工者の育成のために講師を頼まれることもある。行ってみると受講者は年上ばかり。こんな若造に教わるのかというその場の空気を井上さんが実演してみせると、誰もがその実力を認め空気が一変したという。
次の世代へ
硬い石が自分のイメージ通りの形になると達成感があるという井上さんは石材加工を天職だと語る。業界の職人が減る中、三人いる自分の子供たちも同じ道を歩もうとしている。次の世代へ引き継ぐために、店舗や工場も増やした。
今は休む間もないほど忙しいという井上さんだが、60歳になったら仕事の傍ら趣味で始めた陶芸をやりたいと目を輝かせる。