中久保 徹(なかくぼ とおる)さん
平成29年度認定マイスター 住友重機械工業株式会社 産業機器事業部製造部製造1G組立係 係長 機械組立仕上げ、機械検査、油圧装置調整
これまでの歩み
これまで国内は元より、アジア、ヨーロッパを含めて約300ヵ所の現場を経験してきた。その技能は、製鉄機械・圧延設備や鍛圧機械など数多くの機種を仕上げてきた実績に裏付けされる。中久保さんは幼少期からものづくりが好きで、37年前に地元、住友重機械工業に入社した。以来、機械組立仕上げの腕を磨き、数多くの資格を取得してきた。
職人たる所以
何千トンクラスの鍛圧機械は組み上げると、優に10mの高さを超える。その一方で心臓部では数十ミクロン単位での繊細な作業が要求される。やすりやきさげを使って、人の手で調整していく。この摺合わせで、製品の品質や機械の寿命にも係わってくる。各部品の目的や仕組みを理解しないでいい加減に組み立てるといずれは壊れてしまう。図面に表し切れない部分を読み取り、微妙な力加減や調整は人間にしかできないと話す。それには長年の経験と知識が大切になってくる。
地域産業の発展のために
自らが検定委員も務める機械仕上げ実習場では教えを乞う若者たちの姿がある。所属企業の方以外でも学びたい意欲があれば指導するという。現在は現場を取り仕切る立場として日々仕事に追われているが、いつか余力が出来たときには自分がこれまで培ってきた技能・技術をもっと伝えていきたいと中久保さんは話す。
今でも工場に居るより外の現場に出ていきたいという中久保さんの探求心は尽きない。
最近凝っているという料理は自分専用の土佐包丁を手に入れ、休日に時間があればそちらの腕も磨いている。