徳永 等(とくなが ひとし)さん
平成30年度認定マイスター 有限会社松川工業 営業部長 機械加工(普通旋盤作業)
圧延ロール一筋に
徳永等さんは、住友重機械工業(株)時代から現職に至るまで56年間、圧延ロール一筋に技術を研鑽してきた。圧延ロールは1本が数十トンの重量があり、鉄を薄く延ばして板状にしたり、丸棒や角棒に成型したりするのに使われる。松川工業では鋳物材料から旋盤を使って削り出している。
一般に流通している鉄やステンレス等の金属と違って、硬度の高い圧延ロールは、加工する切削工具も違えば、切削のスピードも全く違う。オーダーに合わせた特殊形状に仕上げるにはその形状に合うように工具を研磨する。
培われてきた熟練の技
世の中にNC(数値制御)旋盤が増える中で、汎用旋盤でないとできない技術がある。例えば、ロールの内径を削る際、NC旋盤でも加工できるが、効率良く厳しい公差にも応えるには長年培ってきた熟練の技が活かされる。またNC旋盤で仕上げを行う前に、テーパー(徐々に細くなるように円錐状)に加工する粗加工にも汎用旋盤の方が使い勝手が良いという。
汎用旋盤を活かすために座標計算が欠かせない。その計算する方法を知らない若い人が増えており、プログラムを完成させればスイッチひとつで仕上がるNC機に頼り過ぎるのもどうかと徳永さんは首を傾げる。